基本理念
ホーム>基本理念

菜根譚より

「醇肥辛甘非真味、真味只是淡」

濃い酒、肥えた肉、辛い、甘いは真の味ではない。
真の味は色や香りが淡くほのかである。


食品を生業にする者にとって、とても耳の痛い言葉です。

同業者より売りたいと思えば、
目立つ色にしたい、強い香りで引きつけたい、
食べてすぐにおいしいとわかりやすい味付けをしたいと考えるものです。

有名ブランド米の炊きたての輝きや
もちもちした食感を賞賛する人は多くいても、
噛みしめ続けた時のほのかな甘みを褒める人は少ないのではないでしょうか。

素材にはそれぞれが持つ固有の色、味、旨みがあります。
熱を入れることによりそれぞれが変化することもありますし、
口の中で唾液と混ざることや、時間が経つことによって変化する場合もございます。

我々、焼司喜七では、素材が持つ旨み、香りを
最大限引き出す手間を惜しむつもりはありません。
しかしながらそのために余分な物を使ったり、
利便性を高めるための余分な仕事はしたくないのです。

香料や着色料、様々な化学薬品を
自らが食べる物に入れる人は少ないのではないでしょうか。
最初は“人様に差し上げる物だから少しでも見栄えよくしたい”といった
もてなしの精神から始まったのかもしれませんが、
今の時代、作り手や販売者の都合によることの方が多いような気がします。
もちろんそういったニーズがあるのも事実なのでしょう。

巷にあふれる食品の多くが不自然な食品で占められている今、
我々はあえて地味で素朴なお菓子を作りたいと思います。

菓子という甘く、贅沢な物を作る者が、
素材、生産者、自然、そしてご購入頂くお客様に対して感謝の心を忘れないためにも、
不釣合いな言葉とは思いながら「真味只是淡」を使わせて頂きました。

季節、自然の恵みである旬を大切に、
噛みしめることによって広がる味を計算し、余分な物は使わない。
焼司喜七は、そういう滋味に満ちた菓子作りを目指します。


店主 大本 勝司
祇園きなな本店 祇園きななオンラインショップ
〒605-0865
京都市東山区五条通東大路東入る
1丁目白糸町569-12
焼司 喜七 (やきつかさ きなな)
TEL/FAX 075-533-0333